審判法 ~少年少女レスリングの審判法~

1. 審判員の心構え

少年少女レスリング競技の審判は、レフリーとジャッジ、およびコントローラーの3名で行います。特にレフリーは、安全に試合が行われるよう細心の注意をはらうとともに、自信をもって正確に判定しなければなりません。

審判員としての心構え

  • 競技規則を熟知すること。
  • 不公平のないように正確に審判をすること。
  • レフリーは機敏な動作で適切な判定ができる位置を確保すること。
  • 得点をはっきりと明示すること。
  • 反則などの禁止されている行為を行った競技者に対しては、その都度はっきりと、禁止されている行為の説明を行い、注意を促すこと。

審判手帳も忘れずに!

2. 審判員の服装

  • 白色のポロシャツまたは指定のシャツ
  • 黒のパンツおよび黒のシューズ
  • 左手首に赤と右手首に青のリストバンドを着用

3. 試合前の点検

1マットおよび補助マットの点検

2競技者の点

レフリーはマットの中央に位置し、笛を吹いて両競技者をマット中央に呼び、次にあげる点検、判断、確認を行う。

  • 身体に油、または汗がついていないか。ついていれば拭くように指示する。

  • シングレットの破綻(はたん)や色別の点検。

  • 金具が表面に出ていないかどうか、シューズの点検。

  • 対戦競技者の確認。

3競技者への指示

競技者の点検が終了後、レフリーは両競技者を握手させ、試合開始の合図を待たせる。

4. 試合開始

レフリーは、笛を吹き、試合を開始する。

5. 試合中のレフリーの位置

1スタンドのとき

  • 競技者の動き全体が常によく見える場所に位置する (両競技者の側面3~4m離れた位置) 。
  • コントローラーおよびジャッジの視線にかさならないように気を付ける。
  • 競技者が場外に出そうな時は、マット際に急ぎ、場内か場外かを確認できるようにする。

2グラウンドのとき

  • 防御側の肩の位置がよくみえる位置に、選手に接触しない程度に近づき、不測の事態に備える。
  • 一方の競技者が危険な状態(ニアフォール)になったときは、姿勢を低くし、背中がマットに着いたかどうかを足の方にまわりよく見る。この時、競技者に近づきすぎて接触しないように注意すること。

6. 競技者が場外に出たときの処置

場外の場合、レフリーは笛を吹き、試合を中断する。その後、両競技者をマットの中央にもどし、試合を継続する。 場外退避と判断した場合は時計を止め、注意を行う。

7. 出血・怪我への対応

出血や怪我で試合を継続できないと判断した場合は、試合を止める。

  • 出血の場合、選手が所持しているハンカチを用いた止血を指示する。レフリー自身は止血処置を行わない。
  • 出血や怪我の状況を判断し、ドクターを呼ぶ。
  • 状況次第では、該当選手のセコンドをマット内に呼び、対戦選手をセコンドへ戻す。

8. 笛の吹き方

試合は笛の合図によって行われるので、適時、はっきりとわかりやすく吹くこと。

9. 指による得点の表示

得点の表示は、得点した競技者と同色のリストバンド(赤または青)をつけている腕を上げて行う。

1点の表示

親指だけを立てて表示

2点の表示

親指と人差し指を伸ばして表示

3点の表示

親指と人差し指、中指を伸ばして表示

10. ファイブカウントの方法

ニアフォール体制になった時、審判員は直ちにカウントを始める。(ただし、レフリーはフォールに注視し優先する)5秒継続したとき3点、5秒未満なら2点を表示する。

11. 反則行為があったときの処置

反則行為があったとき、審判員は試合をすぐに止め、反則者及びセコンドに注意し試合を再開する 反則が繰り返され、二回目の反則による注意場合、ペナルティー相手選手に1点の加点を宣告します。悪質な反則に対しては3点の加点または、コントローラー・マット長・審判長に確認して失格があり得ます。

12. レフリーの発声とタイム・アウトのかけ方

レフリーは消極的な選手に対し”アクション“の発声をし、積極的に攻撃するように指導する。
また、スタンドレスリングにおいて、ゾーンに足を踏み入れた選手に対し「ゾーン」の発声をし、中央へ戻ることを指導する。
なお、試合中に試合を一時中断する時には、笛を吹きながら手で「T字」を示し、計時係りにタイム・アウトを指示する。

13. 試合終了

1フォールの場合

片手でマットを2度たたきフォールを確認したら、同時に笛を吹いて試合を終了させる。

2試合の判定

試合時間終了のブザーが鳴らされたら、笛を吹いて試合を終了させる。

14. 勝者の宣告

試合が終了後、両競技者と握手を交わし、コントローラーの合図とともに勝者の片腕を高く上げて勝者の宣告を行う。
勝者の宣告が終わったら競技者同士に握手をさせ、対戦相手のコーチと握手するように指示し、確認後に退場させる。

15. ジャッジの任務

  1. セコンドの数や服装、応援マナーの確認
  2. ジャッジはレフリーの表示した得点に追随せず、自らの判断で得点を表示する。
  3. ジャッジはあらゆる得点について表示する。
  4. タイマー動作、および試合時間終了間際の点数について確認する。

16. コントローラーの任務

  1. 得点表示ボード、スコアーシートや筆記用具の点検。
  2. レフリーの表示とジャッジの得点を確認し、スコアーシートにその得点を記入する。もし、レフリーとジャッジとの間に得点の違いが生じた場合は、最終判断をして得点を表示する。
  3. スコアーシートの得点と得点表示ボード(得点表示板)の得点が合致しているか、時計が的確に示されているかなどを適宜確認する。
  4. 試合中、レフリー・ジャッジが反則などの行為を見逃した場合や、あきらかに得点その他の判断を誤った場合は、速やかに試合を中断させ最終確認をする。

17. 計量について

  1. 設置された数の体重計に差がないか、誤作動はしていないかなど、それぞれ確認する。
  2. 計量をスムースに行うため、計量カードに記載された順番に整列したクラブから計量を行う。
    ※体重計の前で着替えたりさせない。
    ※サポーター、テーピング、絆創膏などはすべて外させる。
  3. 計量カードに計測体重を、その都度記載する。
    ※体重計に乗せる前に選手に学年、氏名を確認して計量を行う。
    ※体重計測の前に、メディカルチェックを行う。
    ※皮膚疾患が見受けられた場合は、試合出場の判断の可否をドクターに確認する。
     ドクターがいない場合は、審判長を中心に審判団が判断を下す。
    ※計量時にはシングレットを着用し、裸足で行う。
    ※計量はリミットで、オーバーの場合は失格とする。
  4. 計量が終了した計量カードは、棄権、失格、階級(氏名)の間違いなどをチェックして、試合進行委員長へ渡す。
    (計量カードは、試合進行委員長が一括管理する)
  5. 選手が揃わないクラブの計量カードは、そのまま受け取り保管しておく。

18. メディカルチェックについて

計量時にメディカルチェックを行い、感染する皮膚病など(白癬菌、トビヒ、水いぼなど)が認められた場合は、出場できない。なお、アトピーなどの感染しない皮膚病の選手は、皮膚科の医師の診断を受診し、診断書を提出する。また、医学的に支障がある場合も同様。ただし、診断書がある場合でも該当ドクターの判断により出場を認めない場合がある。

19. 不測の事態が発生した場合について

試合中ならびに大会開催中に本書が想定していない不測の事態が発生した場合については、コントローラーまたは審判長の判断により試合・大会を運営するものとする。

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